広末涼子『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)

せんせい、お大事にっ!!

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広末涼子のエッセイ本である。

ライターさんが本人の話を文章化しているだけのエッセイ本も少なくない中、本作は、広末涼子が本当に原稿を書いている(しかも手書きで)というのがウリである(これすら嘘というのであれば、もう何を信じていけばよいのかとも思うが。)。

内容は、古今東西の賢人らの言葉とともに、広末涼子がその思いや過去の経験を自由に綴る、というもの。

たまたま本屋で目にとまり、話のネタになるかもと思って読んでみたところ、意外にも(失礼)読み応えがあった。

広末涼子がかなりぶっちゃけて書いている。

冒頭からいきなり「夫からGoogleカレンダーの共用をするよう勧められているけれど、後回しにしてしまっている。」という趣旨の話が飛び込んできて、ああ、夫婦間の溝はこの頃から・・・などと思ってしまう(余計な勘ぐりであろうか。)。

その後も、へこんだり、落ち込んだりしたりすること、中学校でひどいいじめに遭ったこと、子育てと仕事の両立の大変さ、コロナ禍での生活・・・等々といった話が続く。もちろん明るい話も多く、基本的には「広末涼子」という商品価値を崩さないようにしてはいるものの、その中で時折垣間見える本音ベースの話が結構目立つ。「マスコミもパパラッチも大嫌いだし、週刊誌の記者もワイドショーも苦手だ。」(206頁)というのは心の叫びか。

なお、引用されている賢人の言葉の中では、黒柳徹子の「偶然というものは、私たちが思っている以上に、人生を左右すると思う。」(237頁)というのが心に響いた。「やればできる」「望みはかなう」というタイプの名言よりも、むしろこちらの方がすとんと落ちる。

まあ、人生いろいろあるよね。

広末涼子ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)


(ひ)