平安時代という沼にどっぷりハマっているうちに、気が付けば本屋大賞の季節になっていた。とりあえず何か読むか・・・と思っていたところ、目についたのがこちら。知念実希人『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』。 本屋大賞の常連ともいうべき…
作品の波長というものがあって、それが文体なのかストーリー展開なのかわからないけれど、波長が合うのか読んでいて細胞レベルで落ち着く作品というものがある。自分にとっては、それが青山美智子さんの作品である。だから本ブログで自分が紹介したものの中…
せんせいが『戦争の日本古代史』を推してきたということで、こちらはこれを紹介。関 幸彦『刀伊の入寇』。 藤原道長政権下の1019年、対馬・壱岐と北九州沿岸が女真族によって襲われる。この平安時代最大の対外危機ともいえる「刀伊の入寇」について、そ…
藤原道長関係で倉本先生の本を先日検索したからだろう、この本がおすすめリストの中に並べられたので、少し古い本(2017年)だがタイトルにつられて購入。 買ってよかった。 中学生のころ、白村江の戦いで倭が大敗したのに、なぜ戦争指導者たちはクビになら…
大先生、ごめんなさい、週末いろいろとあって、PCの前に座れませんでした。 == 今週読んだ中で澱のように残っているのが、この本である。それはいい意味でというよりも、後味の悪さのせいだと思う。 お受験小説といえば、城山三郎の『素直な戦士たち』が思…
・・・せんせい大丈夫~? --- 4月からの朝ドラ「虎に翼」。先日、メインビジュアルが公開された。法服を身にまとった主人公(しかも戦前の法服!)。これだけでもテンションが上がる。 さて、このドラマの主人公にはモデルがいる。三淵嘉子(みぶち・よし…
紫式部「紫式部日記」、道綱母「蜻蛉日記」、行成「権記」、実資「小右記」と読んできた日記シリーズ。いよいよラスボス、藤原道長「御堂関白記」の登場である。さすがに分量が多いので、これも「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズで読むことに…
大先生が平安時代にはまっていらっしゃいますね、私も大河ドラマの方は楽しく拝見させていただいておりますが、あちこちにオマージュが埋め込まれていて、知識があるとなしとでは大違い(なくてさみしい)。 今週の新書は「限界分譲地」。「限界ニュータウン…
どっぷりとハマった平安時代という「沼」。しばらくは抜け出せそうにない。今回読んだのはこちら。榎村寛之『謎の平安前期』。 約400年にわたる平安時代。このうち前期に相当する約200年について論じた本である。 本書に「知られざる平安前期」ともあ…
毎日新聞社会部記者による良質のルポ。新聞記者の本領発揮というところだろう。ただしこういう記事は、おそらく金にはならないだろう、とも思う。私たちは、いつまでこういう記者によるこのような文章を読めるのだろうか。 本書の主役は4人。ユズ・モモ・レ…
道綱母「蜻蛉日記」、行成「権記」、実資「小右記」ときたので、次は藤原公任である。といっても公任は著名な日記は残していないし、「和漢朗詠集」は選者にすぎない・・・などと思っていたら、手頃な評伝が出ていたので読んでみることに。小町谷照彦『藤原…
はい、続編です。買って読んだ後、近所の書店でサイン本を発見した。なんか悔しい。 「膳所から世界へ!」成瀬あかり女史、今回も縦横無尽の大活躍。 近所のスーパーでレジバイトしながら、小学生と街をパトロール。受験を終えて応募したびわこ観光大使に就…
「あれ」って何だろう・・・あれの続編かな・・・せんせいのレビューを楽しみにしています。 --- 藤原実資については「是々非々で押し通す、ちょっとクセの強い男」というイメージを勝手に抱いていた。大河ドラマ「光る君へ」では誰が演じるのだろうかと思っ…
大先生の次の1冊はきっと「あれ」だろうと思っていたのですが・・・。次が「あれ」でなかったら、私が書かせていただこうかな、と。 「こども庁」が自民党保守派(というか宗教団体系と呼ぶべきだろう)の反発によって「こども家庭庁」として発足したのが昨…
「光る君へ」には藤原行成も出てくる。能書家で「三蹟」の一人であり、また日記「権記」の著者でもある。 この「権記」については、「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズで出ているので、読んでみることに。編者は当ブログでもおなじみの倉本一…
御所グラウンドではうちのチビが毎週野球やってますが、まだ沢村栄治には会ったことないみたいです。 さて。 徳川将軍15人を挙げていくとして、家康、家光、吉宗、慶喜くらいは学校の教科書に出てくるし、秀忠とか綱吉とか、あと家斉くらいはまぁ出てくると…
万城目学さんが直木賞受賞!おめでとうございます!!受賞発表までの間、森見登美彦さん・上田誠さん・綿矢りささんと4人で脱出ゲームやUNOをして過ごしたというエピソードが何だかほっこりします。京都すごい。 ---乃木坂46の1期生・高山一実が小説を書…
忌野清志郎の歌に、北朝鮮で「お~い、キム~」と呼ぶと、みんなが「なんだ~い」と答える、というのがあるのだが、平安京でもみんな藤原さんなわけで、とにかく誰が誰だかわからなくなる。系図を見るとさらにわからなくなって、天皇家の系図と重ねるともう…
大河ドラマ『光る君へ』には、藤原道綱母が出てくるという。「蜻蛉日記」の作者である。興味を持ったので、現代語訳で読んでみることにした。 まずはお約束の「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズから角川書店編『蜻蛉日記』で頭づくり。毎度毎…
「世の中ってのはどうやってできているのか、考えてみたとき、神さんがつくらはったと思ったら、けっこう楽しいんやわ」「そやな」「で、日本の神さんがどんな神さんやったかっていうと、はっきり言うてサイコパスなんやわ」「そうなんや」「そもそもやな、…
年末年始はこれを読んで過ごした。亀田俊和訳『太平記(上)(下)』。 訳者の亀田氏は、国文学者ではなく、バリバリの歴史学者である(ブログを見返してみたら、せんせいが何度か言及されていた。)。『観応の擾乱』(中公新書)は面白かったが、そういえば…
このたびの震災に際し、心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様の一日も早いご復興をお祈り申し上げます。 年末年始は実家で過ごす。Kindleで過ごせばいいやと、紙の本をほとんど持たずに帰省したのだが、がっつり読むには物足りない。イオンモールに買い…
勅使川原真衣『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)『正訳 紫式部日記』(中野幸一訳・勉誠出版)山本文緒『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』(新潮社)福間良明『司馬遼太郎の時代』(中公新書)アルテイシア『59番目のプロポーズ キャリ…
先生ご指摘のとおり、今年の大トリは角田光代訳『源氏物語 下』。光源氏亡き後の物語。 「匂宮」「紅梅」「竹河」のいわゆる匂宮三帖を経た後(いずれも断片的な話)、いよいよ最後の山である宇治十帖に突入する。 この宇治十帖、角田光代訳で約500頁もあ…
大先生による大トリは、きっとあの日本文学史上最高傑作がくるだろうと思っていて、もうそれが待ち遠しくてしかたないのですが、私の方は、大河「光る君へ」につなぐためにも、2年連続の将軍ものだったので、「将軍」で締めようかと。 といいつつも、大先生…
角田光代訳『源氏物語』、全部読んだぞー! --- 源氏物語を読みふけっている間、直木賞候補作の発表があった。なんと万城目学さんが6回目の候補入り。9年ぶりとのこと。これは読まねば。 『八月の御所グラウンド』。2作の短中編からなる本である。 1作目…
「学習まんが日本の歴史」は、小学館・学研・集英社・角川がしのぎを削っており、それぞれに長所があって、なかなか選びづらい。各社の改訂が一巡して、学説も更新され、何よりも絵が劇画調になっていたりするので、さらに悩む。で結局、メルカリで売られて…
当ブログで紹介した宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』ですが、なんと雑誌「ダ・ヴィンチ」のBOOk OF THE YEARにおいて小説部門1位に輝きました!おめでとうございます!デビュー作で1位・・・。 ---ずっと角田光代訳『源氏物語』を読み続けているため、…
ゴジラ-1.0、観ました。圧倒的によかったです!! 1954年のゴジラでは観客にとって当たり前だった「あの戦争体験」を強調して描いたのは、時代の要請として正解だったと思う。神木浜辺ペアも朝ドラに続いて(撮影はこちらの方が早かったらしいけど)安定の演…
当ブログで紹介した前田雅之『古典と日本人』に、四書(論語・大学・中庸・孟子)のうち読み残していた「孟子」をようやく読み終えたとする明治初期の一庶民の記録が紹介されている(248頁)。 僕も「論語」「大学」「中庸」までは訳注付きで読んでいたし…