知念実希人『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』(ライツ社)

平安時代という沼にどっぷりハマっているうちに、気が付けば本屋大賞の季節になっていた。とりあえず何か読むか・・・と思っていたところ、目についたのがこちら。知念実希人『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』。

本屋大賞の常連ともいうべき知念実希人が、初めて書いた児童向けミステリである。と同時に、本屋大賞史上、児童書として初のノミネート作品でもある。地方(明石市)の出版社が手がけた本のノミネートという点でも、話題となった。

児童向けらしく、人の死なないミステリとなっている。とはいえ内容は本格派。冒頭で謎が示され、次いで主人公たちの紹介。ミステリといえば「ホームズとワトソン」のように2人組が定番だが、本作は男女とりまぜた3人組としているところが目新しい。

終盤にはお約束の「読者への挑戦」。作品中、ミステリの「古典」ともいうべき作品がいくつか出てくるのも何だか嬉しい(巻末でも改めて取り上げている。)。

人生で最初に手に取るミステリとして、なかなかよいのではないだろうか。

知念実希人『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』(ライツ社)


(ひ)