『ライオンのおやつ』と同様に,本屋大賞にノミネートされたら読んでみようと思っていた本。知念実希人『ムゲンのi』。
神経内科医の識名愛衣は,眠りから覚めない謎の病気「イレス」の患者を担当していた。「イレス」は,世界でも400例しか報告されておらず,治療法も確立していない。やがて愛衣は,霊能力者である《ユタ》の能力に目覚め,《マブイグミ》を通して患者を救済しようとするが・・・。
予想外の展開,というのはこういう小説のことをいうのだろう。特に後半は,次から次へと(いい意味で)読者の予想を裏切っていく。と同時に,きっちりと伏線回収も行う。読後感は,とても良かった。
知念実希人,これで3年連続のノミネート入りである。一昨年や昨年のようなリアル路線の作品よりも,こういうファンタジー要素強めの作品の方が,この作家には似合っているのかもしれないなあ。
(ひ)