青山美智子『リカバリー・カバヒコ』(光文社)

作品の波長というものがあって、それが文体なのかストーリー展開なのかわからないけれど、波長が合うのか読んでいて細胞レベルで落ち着く作品というものがある。
自分にとっては、それが青山美智子さんの作品である。だから本ブログで自分が紹介したものの中で、登場回数がいちばん多いのではないかと思われる。

青山作品は、『赤と青のエスキース』でちょっと異彩を放ったけれど、基本は同じ路線である。
本作もそうで、公園のボロボロになったカバの遊具をめぐる同じマンションの住人たちの、5つの回復の物語(泰斗の頭、紗羽の口、ちはるの耳、勇哉の足、和彦の目)。「カバヒコ」と呼ばれるこの遊具に触れると、治したいところが回復するというのだ。

「人呼んで、リカバリー・カバヒコ。・・・カバだけに。」

 

今回も、たっぷり癒されました。

本屋大賞ノミネート作品。今年は、あの成瀬が立ちはだかる。

(こ)