高山一実『トラペジウム』(角川文庫)

万城目学さんが直木賞受賞!
おめでとうございます!!
受賞発表までの間、森見登美彦さん・上田誠さん・綿矢りささんと4人で脱出ゲームやUNOをして過ごしたというエピソードが何だかほっこりします。京都すごい。

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乃木坂46の1期生・高山一実が小説を書いた。『トラペジウム』である。よく書店でも見かけた。現在までの累計発行部数は25万部を超えているという。

それが今年、映画化されることに。さすがに気になって読んでみた。

高校1年生の東ゆう。アイドルになりたいという思いが強い彼女は、ある行動に出る――。

どこへ進むのか分からない(ちょっと危なっかしい)ストーリーにやや戸惑う。序盤はやや固めの文章(無理やり難しい単語や言い回しを使ったりとか)も目立つ。もっとも、これらはやがてこなれてくる。主人公の行動には必ずしも共感できるものばかりではなく、やや自分勝手に感じられたり、「それって『踏み台』では・・・?」と思ったりすることもしばしばあるが、それ自体、物語の重要な要素だったりもする。とにかく「アイドルになりたい」という一図な気持ちはよく伝わってくる。

高専に通う男の子・シンジ君のキャラが良く、また主人公との距離感も絶妙であった。本作の収穫である。

高山一実『トラペジウム』(角川文庫)


(ひ)