新海誠『小説 言の葉の庭』(角川文庫)

オリエント急行殺人事件も「13人」の物語ですからね~。これはあるかもですね~。

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「じゃあ、また会うかもね。もしかしたら。雨が降ったら。」

新海誠、5作目の劇場用アニメーション。これを新海監督自らが小説にした。

わずか46分の上映時間の作品。小説版では、様々な登場人物の視点を取り入れ、また主人公2人の過去にも遡る。映画版で一瞬しか出てこなかったキャラクターの心情をも深く掘り下げていて、単なる映画のノベライズにとどまらない。むしろ監督自身が作り上げた「二次創作」とでもいうべきか。

新海誠作品のヒロインは10代が多い。でもこの『言の葉の庭』のヒロインは20代後半の高校教師。心を病み、職場に行けず、朝から庭園のベンチで過ごす。缶ビールとチョコレートが、とても切ない。

本作はまた、雨を美しく描いた作品でもある。梅雨時の雨。雨に濡れた緑の木々。本作のもう一つの主人公は、間違いなく、雨である。

新海誠『小説 言の葉の庭』(角川文庫)


(ひ)