倉本一宏編『権記』(角川ソフィア文庫)

「光る君へ」には藤原行成も出てくる。能書家で「三蹟」の一人であり、また日記「権記」の著者でもある。

この「権記」については、「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズで出ているので、読んでみることに。編者は当ブログでもおなじみの倉本一宏先生。

客観的事実を淡々と記す。主観はほとんど入らない。情緒豊かな日記文学の「蜻蛉日記」とはかなり異なる。

編者の解説やコラムが理解を助ける。出来事の背景や、行間から読み取れる行成の感情を興味深く示してくれる。

行成は青年期までは不遇であったが、やがて天皇の側近である蔵人頭に抜擢され、最後は権大納言まで出世。一条天皇の信任が厚かった一方、重要な局面では藤原道長の側に付いた。藤原実資からは「道長に追従する公家」と揶揄されてもいる。

「権記」には様々な出来事が記されている。一条天皇の話も少なくない。おかしな夢を見たなどといった記載もあったりする。登場人物も多く、教科書でおなじみの人などから、安倍晴明まで出てくる。まあ、読んでいて飽きない。

倉本一宏編『権記』(角川ソフィア文庫


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