2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

養老孟司・久石譲『脳は耳で感動する』(実業之日本社)

何でこう忙しいときに限って、面白そうな映画ばかり上映されているのか…。--- 今週はとにかく忙しくてバタバタしていたので、家族が買っていた本を借りてスキマ時間に読んでいた。養老孟司・久石譲『脳は耳で感動する』。 養老さんと久石さんの対談集である…

小針誠『<お受験>の歴史学』講談社選書メチエ

2015年の本だが、調べたいことがあったので取り寄せて読む。 というのも今、カトリック高校の閉校や共学化の問題を調べているのだけれど、このあいだある先生に、小針さんが私立小学校の研究で、学校が保護者や受験生に選ばれるところをやっているから、…

城戸川りょう『高宮麻綾の引継書』(文藝春秋)

『ベスト&ブライテスト』なら確か二玄社から復刻版が…と思ったらそれも10年以上も前の話で、もはや書店に並んでいない! しかも古本がプレミアム価格に!!--- また勢いのある新人作家が出てきた。城戸川りょう『高宮麻綾の引継書』。 入社3年目の高宮麻…

加藤シゲアキ・朝井リョウ・今村昌弘・蝉谷めぐ美・荒木あかね・麻生競馬場・柚木麻子・小山哲・佐藤究・今村翔吾『あえのがたり』(講談社)

そうですか、『代議士の誕生』復刻されたのですね。日経BPありがとう。同じくサイマル出版会が出していた『ベスト・アンド・ブライテスト』もお願いしたいです。 == 奥能登には「あえのこと」という、田の神様を祀り感謝を捧げる儀礼が伝わっている。「あ…

ジェラルド・カーティス『代議士の誕生』(山岡清二・大野一訳、日経BPクラシックス)

『侍タイムスリッパー』が日本アカデミー賞最優秀作品賞! 大快挙じゃないですか!! ---めっちゃ面白かった。ジェラルド・カーティス『代議士の誕生』。 ずっと読みたいと思っていたけれど、いつの間にか書店から姿を消していた。それがまさかの重版。日経…

山本謙三『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書)

森永卓郎さんが先日亡くなった。 「年収300万円時代」はほんとうにやってきたし、竹中平蔵氏への徹底的かつ根源的な批判は十分尊敬に値する。 ただし、彼の残した「ザイム真理教」の言説は、それがひとり歩きして、今、SNSでの煽りや財務省解体デモのような…

更科 功『世界一シンプルな進化論講義』(ブルーバックス)

忙しすぎて書店にもなかなか行けない時に、駅ナカのブックコーナーは大変助かる。この本も駅ナカで購入。更科 功『世界一シンプルな進化論講義』。 進化論をテーマにしたコラムを、1冊の本にまとめたものである。 どのコラムも興味を引く。例えば序盤にある…

J.D.ヴァンス(関根光宏・山田文訳)『ヒルビリー・エレジー』(光文社未来ライブラリー)

2月28日、ホワイトハウスで米宇首脳会談が開かれ、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が激しく口論して物別れになる映像を全世界が見ることとなった。そのきっかけとなったが、ヴァンス副大統領の発言であった。 何、あの腰巾着? ・・・と思って、彼の自叙…

樋口陽一『戦後憲法史と並走して』(聞き手・蟻川恒正、岩波書店)

現場仕事ばかりしていると、時にはアカデミズムの空気も吸いたくなる。というわけで読んでみたのがこちら。樋口陽一『戦後憲法史と並走して』。 憲法学者の樋口陽一先生が、自らの半生を振り返るとともに、その理論の形成・発展等を語った、いわば集大成的な…

今泉拓『行動経済学が勝負を支配する』(日本実業出版社)

新書、奥が深いですよね。 10年ほど前の映画に「マネーボール」というのがあった。ブラッド・ピット演じるGMが弱小貧乏球団アスレチックスを、データ野球でたたき上げていくという、実話をもとにした作品がある。クリント・イーストウッドがこれに腹を立て…