『ベスト&ブライテスト』なら確か二玄社から復刻版が…と思ったらそれも10年以上も前の話で、もはや書店に並んでいない! しかも古本がプレミアム価格に!!
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また勢いのある新人作家が出てきた。城戸川りょう『高宮麻綾の引継書』。
入社3年目の高宮麻綾。準備を積み重ねて立ち上げようとした新規事業が、なんと親会社から潰されることに――!?
いわゆる「お仕事小説」に分類されるのだろうけれど、この作品、とにかく主人公がエネルギッシュでパワフルである。理不尽な社内の論理に怒り、あちこち駆け回って打開策を図る。舌打ちもする。貧乏ゆすりもする。やけ酒をあおって二日酔いにもなる。一昔前の小説だと男性が主人公となるところを、本作はごく自然に女性がその役割を果たす。これぞ令和のお仕事小説である。
本作はちょっとしたミステリ仕立てにもなっている。その「謎解き」はどこまでもフェア。ヒントは十分に提示されていたが、最後までまったく気付かなかった。うまいなぁ~。
著者は1992年生まれ。本作がデビュー作である。
(ひ)
