2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

向坂くじら『いなくなくならなくならないで』(河出書房新社)

米津玄師と藤本タツキの対談がつい先日公開されて、その中で米津さんが「すごく面白かったんですけど」と言いながら紹介していたのが、向坂くじら『いなくなくならなくならないで』。 米津さんが推すくらいなので、これはちょっと読んでみようと思って読んで…

エミリー・ワインスタイン、キャリー・ジェームズ(豊福晋平訳)『スマホの中の子どもたち』(日経BP)

今年も文化祭をなんとか無事に終えることができました。ほっとすると、疲れが一気に押し寄せて、がんばった生徒もがんばった教員もどこか調子が悪いです。 さて、本書はハーバード大学教育大学院の、デジタルテクノロジーが青少年に与える影響を調査したプロ…

ジェームズ・M・バリー『ピーター・パンとウェンディ』(大久保寛訳・新潮文庫)

三宅香帆さんが読書に関する本を次々と発表。これまで齋藤孝さんの一人勝ち状態だった分野に変化が起こるか・・・? というわけで、今回も三宅香帆『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(角川文庫)の中から1冊…

奥井亜紗子『関西大衆食堂の社会史』(法律文化社)

社会学とは、アタリマエを疑う学問である。今週の「アタリマエ」は、関西人ならいちどはお世話になったことがあるであろう「餅系食堂」の成り立ちについて、である。 大先生はご存知だろうが、関西には「力餅」「大力餅」「相生餅」「千成餅」といった大衆食…

綿矢りさ『かわいそうだね?』(文春文庫)

前にも触れた、三宅香帆『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(角川文庫)。22作品が紹介されていて、そのうち13作品は既に読んだ。どれも面白かったなあ……と思い返す中で、1作品だけ、どんなストーリーだ…

三谷舜『軟式ボールの社会学』(創元社)

社会学とは、アタリマエを疑う学問である。そこでは、一見自明に思えることがらを問い直し、そのからくりを明らかにする。 本書は、「軟式ボール」(軟式野球、ソフトテニス、ゴムソフトボール)に注目し、なぜ軟式ボールが日本で独自の発展を遂げたのか、歴…

氷室冴子『海がきこえるⅡ アイがあるから』(徳間文庫)

以前紹介した『海がきこえる』の続編である。氷室冴子『海がきこえるⅡ アイがあるから』。 大学に進学した杜崎拓と武藤里伽子。ある日、拓がアパートに戻ると、泥酔した先輩・津村知沙が眠っていた――! おお、これ、すごいなあ。 「アイがあるから」というく…

塩出浩之『琉球処分』(中公新書)

筑駒から東大に進み、大学院を出て琉球大学の講師となった塩出青年。日本政治外交史の講義を担当し、話は琉球処分に差し掛かった。目の前の学生の8割は地元沖縄の出身であり、「処分した側」にいる塩出先生は、彼らを前にどう説明すればよいのか、頭が真っ白…