鴨長明『方丈記』

 ロシアのウクライナ侵攻の前に、心穏やかに過ごすのはちょっとしんどい。

 ゆく河の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、又かくのごとし。

 「方丈記は災害文学である」という一言を目にして、方丈記を読み直す。

 世の不思議を見る事、やや度々になりぬ。
 大火、竜巻、地震、遷都と政治の混乱、飢饉、戦乱。妻子との別れ。

 長明は50歳で出家し、大原に隠棲する。4年後、日野の山中に1丈四方の庵を結び、58歳のときに方丈記を記す。建暦2年(1212年)弥生晦日のころのことである。

 「戦後」なるものが2022年2月24日に終わったのかもしれない。これから起きることに、自分はどう向き合っていくのか。エネルギーも食糧もなく、少子高齢化と人口減少が加速し、必ず巨大地震と火山噴火に見舞われるこの国で、どう生きて行くのか。子どもたちのために何ができるのか。

 しづかなる暁、このことわりを思ひ続けて、みづから心に問ひていはく・・・その時、心更に答ふる事なし。

 

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