李宣英『準市場の成立は高齢者ケアサービスを変えられるか 日韓の比較実証分析』ミネルヴァ書房

 先週末は祇園祭前祭の宵山、今週末は後祭の宵山です。24日の後祭巡行と還幸祭で、祭の方はクライマックスを迎えます。

 というわけで、先週今週は空き時間をそっちの方に全振りをしてしまったので、今週もまた仕事関係の本で失礼いたします。(いったん止まってしまった「螺旋」の方は進まず・・・)

 

 実は雑誌論文の執筆依頼を受けて、あわてて昔読んだ本を引っ張り出して勉強し直しておりまして、そのうちの1冊がこれ。本書は「準市場」という、公共サービスの提供に際して部分的に市場原理を導入した形態について、社会福祉サービスの日英韓比較を通して検証したものである。

 実は「準市場」という概念は、教育サービスの提供にもあてはまって、公立学校と私立学校がハイブリッドでサービス供給していることは、まさにこれに相当する。

 そして日本では憲法89条の制約のもと、「公の支配」に属する形で民間が提供する公共サービスに対して政府が財政支出を可能とするための制度設計として、公益法人制度ができあがっている。そのため、学校法人に対する私学助成は合憲とされ、日本の教育サービスの柔軟かつ多様な供給に寄与している。

 

 ・・・というわけで、今、私立学校授業料無償化政策が少し話題になっているので、それを準市場の概念を使って、戦後の高校教育拡大を現在の少子化にも関連付けて、6,000字にまとめる、という夏休みの宿題をいただいたのです。

 がんばります。

(こ)