久保田哲『明治十四年の政変』(集英社インターナショナル新書)

そうですか、もう10年経ちますか・・・。読も。

通勤経路から一気に書店が2冊消えてしまった影響はかなり大きく、ふらっと立ち寄って本を手にする日常が奪われてしまった。百万都市・京都ですらこれである。こうして書評を参考にアマゾンや楽天ブックスをポチっとすることが増え、きっとこれが街の書店をさらに追い詰めているのだろう。

というわけで、楽天ブックスでポチ。

維新の三傑」の相次ぐ死によって次世代リーダーたちの暗闘が始まる。そのマグマが爆発したのが「明治十四年の政変」である。北海道開拓使官有物払下げ事件に端を発した政権内部の争いは、自由民権運動を牽制するために国会開設を約束する一方、大隈派の追放と黒田の政治的影響力低下によって、結果的に伊藤の政治的勝利で決着した・・・というのが高校の歴史教科書的な理解である。

本書はこの政変をさらに深く掘り下げる。意外な登場人物は、井上毅福沢諭吉である。実は政変の黒幕であり真の勝者は井上であり、教育者としての大隈と福沢への警戒は帝国大学師範学校の優遇と私学冷遇という日本の文教政策を方向付ける。

 

勉強になりました。

(こ)