「シン・ゴジラ」を映画館で見たとき、その内容に圧倒され、もうこれ以上のゴジラ映画は作れないんじゃないかと本気で思った。
そうしたところ、山崎貴監督が果敢にも手を挙げ、新作が世に出ることになった。「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」である。
期待半ば・不安半ばのまま封切直後に見に行ったところ、予想をはるかに上回る出来であった。最初から最後まで一気に駆け抜けるストーリー。とてつもなく凶暴なゴジラ。一方で「家族」のあり方もしっとりと描く。映画館によっては終幕後に観客席から拍手が巻き起こったというが、それもそうだろうと思う。
もう一度確認してみたい点もあったため、どうしたものかなと思っていたところ、11月8日に監督自ら手がけた小説版が発売されるという。ということで迷わす購入。
終戦直後の日本。復員した青年・敷島浩一は、闇市で若い女性・大石典子と出会う。あちこちで復興の槌音が聞こえる中、大怪獣・ゴジラが現れて――。
ストーリーは映画版と同じだが、登場人物の心情などが、小説版ではより丁寧に描写されているほか、映画版ではカットされたと思われるシーンも描かれている。これはこれでなかなか読み応えがあった。
(ひ)