高橋雅紀『分水嶺の謎』(技術評論社)

兵庫県に、標高100mもない日本でいちばん低い中央分水嶺(分水界)があるのは有名な話。こうした谷中(こくちゅう)分水界はけっこうたくさんあるらしい。昔は川だったところが隆起や河川の浸食によって流れが変わって、あるとき反対側に流れていってしまったために、谷の中に平坦な分水界ができてしまうのだとか。

京都にもそういうところはあって、30万年前までは亀岡盆地の向こうは由良川水系日本海に流れていっていたのが、桂川由良川水系の一部を取り込んで、分水界を北に押し上げたらしい。その後も京丹波町のあたりで由良川桂川の小規模な小競り合いは続いてきたそうだ。

石狩川も昔は苫小牧に河口があったそうで、それが支笏火山の噴火によってせき止められたせいで、4万年前に日本海側に流れが変わったそうだ。新千歳空港が現在の分水界となっている。

そんなネタが次々と投げられ、後半は京都と滋賀の境界の三国岳から、地形図を見ながら西へ西へと中央分水嶺をたどって、ゴールの下関・火の山公園まで向かうという、超大作レポートが待っている。

地質学者によるサイエンスエンタテイメント(らしい)。もう、おなかいっぱいになりました。

(こ)