清田隆之『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』(双葉文庫)

 男性から女性への失言というかセクハラとか、そういうのは、昭和のオヤジがやるものだと思っていたけれど、そうじゃない。
 著者は企画で1000人以上の女性から「恋バナ」を聞いていくうちに、実は男たちヤバいんじゃね?、と気づいてしまう。

 話を聞かない、謝らない、プライベートで別人になる、プライド、イキリ、男同士だと豹変する、女性の身体への無理解、上下関係に従順すぎる・・・。

 それを整理してまとめたのが本書である。

 そしてそれだけで終わらず、専門家にコメントを求めに行く。DVの専門家、性教育の専門家、ホモソーシャルについて、セクハラについて、ハゲについて。

 その根底にあるのは「男らしさ」へのこだわりである。
 その「男らしさ」、ほんとうに必要ですか?

 実は本書、男性解放のためのガチの指南書であった。
 うちの男子生徒たちを、セクハラおやじにしないことも、有害な「男らしさ」で苦しまないようにすることも、男子にもきちんとこういう話はしていかないといけないことのだと思う。 

 晶文社より2019年に刊行された単行本を、2023年文庫化。

(こ)