インフルエンザで4日ほど寝込んだ。チビたちにうつしては大変なので父は4畳半の和室に隔離され、ちょっとしたバリケードを築いて立ち入りを禁止した。チビたちは遠目に、とうちゃん、だいじょうぶー、はやくよくなってね-、と気を遣ってくれる
今、妻が突然の事故で亡くなり、自分もこの病が治らず、2人の子どもを残してこの世を去らなければならないのだとしたら・・・?
永井隆は、静かに筆を執る。子どもへの思い、自らの体のこと、文章の多くは孤児問題と敗戦直後の世相に割かれつつ、神のこと、イエスのこと、戦争のこと、原爆や放射能のこと、あるいは日常を切り取ったエッセイと、話は尽きない。子を失った隆の友人たちが尋ねてきては、彼の子どもたちを大切にしてくれる。
若いことにも読んだ。正直、少しうっとうしいと思った。
今、同じ2人の子の父として、涙なくしては読むことができない。
死病にかかっている父、二人の幼い孤児予定者――これが如己堂の住人である。この三人の人間が生きてゆく正しい道はどこにあるのか? ――それを探して苦しみ悩み考え、祈り、努めてきた。私が考えたこと、子供たちがしたこと、子供に話したこと、今わかりそうにないから書いておいて後で読んでもらうこと――それを、そのままこの書に書いた。
先日、浦上天主堂でのミサの後、少し遠回りをして、長崎市永井隆記念館に足を運んだ。
サンパウロから刊行された『永井隆全集』全3巻は、2・3巻が絶版。1巻も在庫があるだけだったので、1冊購入。
(こ)