須賀しのぶ『荒城に白百合ありて』(角川書店)

幕末を舞台にした,これまでにない歴史小説である。須賀しのぶ『荒城に白百合ありて』。

安政の大地震により燃えさかる江戸の町。昌平坂学問所で学んでいた薩摩の青年・伊織は,ふらふらとさまよい歩く美しい少女・鏡子と出会う。鏡子は,会津藩士の娘であった・・・。

よくあるような,歴史に翻弄されるけなげな男女の話,ではない。これは,滅びというものに「美」を感じてしまう2人の物語,というべきだろう。ジャンルも舞台も全く違うのだけれど,つい三島由紀夫金閣寺』を思い出してしまった。

なお,表紙のイラストは遠田志帆さん。最近,この人の表紙,よく見かけるなあ。

荒城に白百合ありて

荒城に白百合ありて


(ひ)