当ブログで何回も紹介してきた「推しの子」ですが、アニメ版主題歌のYOASOBI「アイドル」とともに新語・流行語大賞ノミネート入り!
いや~、流行しましたね~。
車田正美(原作)・須田綱鑑(漫画)『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』(チャンピオンREDコミックス)
まさか、この令和の時代に、あの当時の雰囲気のままの作品が読めるとは。
1990年に連載を終了した『聖闘士星矢』。その後、様々な作家の手によりスピンオフ作品や続編が多く作られた。
その中で、本作は群を抜いている。
『聖闘士星矢』と地続きの世界観。そして当時の作風を完全に再現した絵柄。他のスピンオフ作品ではなかなか見ることのできなかった「ポセイドン編」のキャラクターが、あの時のまま、いやあの時以上にパワーアップして帰ってきた。
長生きはするものですね。率直に言って、感動しました。
宮下英樹『神聖ローマ帝国 三十年戦争』(歴史群像コミックス)
『センゴク』シリーズでおなじみの宮下英樹先生が手がけるのは、なんと三十年戦争! これは読まないと。
西暦1618年、ドイツ・ライン地方のファルツ領。ファルツ選帝侯・フリードリヒ5世は、この時21歳であった。神聖ローマ帝国領内で新教・旧教が入り乱れる中、ボヘミアのプラハ城である事件が勃発し――。
ということで始まったこの物語。第一章のタイトルが「冬の王」とあるように、当面はフリードリヒ5世を中心に描いていく模様である。
一癖も二癖もある人物が次々と登場。30年にわたる動乱はまだ始まったばかりだが、これはなかなか楽しめそうな作品である。隔月刊誌に掲載されているため、コミックス自体も相当スローペースの刊行になりそうだが、どこまでも付き合いますよ~。
業務用餅(漫画)・六志麻あさ(原作)・kisui(キャラクター原案)『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』(KCデラックス)
SNSで話題に上がっていたので、どんなものかと読んでみたところ、想像をはるかに超えた、ある意味ぶっ飛んだ作品であった。
魔力で武器・防具を強化する青年・レイン。ある日、所属ギルドから理不尽にも追放されてしまう。そこで彼が取った行動は――。
いわゆる「剣と魔法の世界」を舞台としたファンタジー物であり、主人公が様々な困難を仲間と乗り越える・・・のだが、ところどころ、いやかなりシュールでカオスな展開となる。・・・えっ?ここどこだよ(笑)。いや何でそんな物がファンタジー世界に(笑)。
意表を突いたギャグ。唐突に始まる人生訓。マンガというものは、ここまで自由なのか。
作画も、下手なのか上手いのか、それとも実は上手いけれどわざと下手に描いているのかという、絶妙なところをバシバシ突いてくる。
おそらく一般受けはしないだろうが、刺さる人にはとことん刺さる。気が付けば、最新刊まで一気読みしてしまった。マンガの世界は、奥深い。
新海誠(原作)・甘島伝記(漫画)『すずめの戸締まり』(アフタヌーンKC)
新海誠監督の映画「すずめの戸締まり」。そのコミカライズ版である。
高校生の少女・鈴芽は、登校途中に美しい青年と出会う。彼は「扉を探している」と言う――。
映画のあの場面、この場面が、漫画という表現手法で再び目の前に現れる。ほぼほぼ映画版準拠であるが、ところどころセリフやシーンを新たに追加。これがまた、絶妙なのである。
映画の中では断片的にしか描かれなかったキャラクターが、新たに深掘りされた形で表現される。著者にはもう、感謝しかない。
入江謙三(原作)・藤崎聖人(漫画)『他人の弁護は蜜の味』(ヤングジャンプコミックス)
法律の世界をテーマにした作品は、やはり気になる。本作の主人公は、ちょっととんでもない弁護士で・・・。
大手弁護士事務所でアルバイトをすることになった女子大生・竹林。彼女がついたのは、童顔の弁護士・斎賀であった。彼は他人の不幸が好きで好きでたまらない――。
弁護士を扱った漫画はこれまでにもあるが、本作は離婚案件をメインに扱っていて、なかなか目の着けどころの良い設定である。主人公・斎賀のリーガルアドバイスはどれもこれも非常識で、現実的にはあり得ないものなのだけれど、でも「なくはない」という絶妙なラインを攻めている。
細かい設定など、やや気になるところがないではないし、主人公の発言の中には令和の時代にどうかというものも稀にあるが、作品全体に「勢い」があることは確かである。このままどこまで突き進むのか――。
佐世保太郎『大門寺と問題児』(ジャンプコミックス)
小学校を舞台にした、新感覚コメディである。
5年2組の担任教師・大門寺門大。今日もまた、とんでもない行動に出た問題児・まひるを説教しようとするが――。
大門寺が説教し、これに対してまひるが思わぬ言い訳(?)に出る・・・という基本パターンに詰め込まれた(例外もある)、コメディ作品である。大笑いというよりは「ふっ・・・」という笑いに近いのだが、その笑いの波状攻撃がどれもこれも常軌を逸している。よく次から次へと思いつくなぁ。
まひる以外にも様々なキャラが出てきて、これがまた面白い。個人的には「保健委員おさむ」がツボであった。
「笑い」の可能性は、まだまだ広い。
追記その1:つるまいかだ『メダリスト』(アフタヌーンKC)
何度か当ブログで紹介している『メダリスト』が、ついにアニメ化!
フィギュアスケートの複雑な動きをアニメで表現できるのか、ちょっぴり不安がなくはないけれど、ひとまずはアニメスタッフのチャレンジ精神を評価したい。期待しています!
その『メダリスト』の最新刊である第9巻が、これがもう、素晴らしかった。
ここ最近で読んだコミックの中で、1番ではないかというくらい。
舞台はフィギュアスケート全日本ノービス大会。圧倒的なパフォーマンスを見せつけた狼嵜光(かみさき・ひかる)に対し、結束(ゆいつか)いのりはどう立ち向かうのか――。
ストーリーもさることながら、心を奪われたのはその「絵」である。
計算され尽くされたコマ割り。躍動感あふれる構図。
何よりもまず、荒々しいタッチの絵柄が、スピード感と緊迫感とを高めていく。
マンガ表現の限界に挑んだ作品と言っても過言ではないだろう。
追記その2:相沢沙呼(原作)・清原紘(漫画)『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(アフタヌーンKC)
これも何度か紹介しているコミカライズ版『medium 霊媒探偵城塚翡翠』ですが、コミックス第3巻をもってついに完結!
終盤の「あのシーン」も、想像をはるかに上回る作画でした。表紙は・・・最後までおじさんには買いづらかった(笑)。
次回作も期待したいです。っていうか絶対読みます。
(ひ)