直木賞大予想!

いよいよ来週7月18日(水),第159回直木三十五賞が発表されます。
どの作品が栄冠を勝ち取るか。誰が「直木賞作家」との肩書き(?)を勝ち取るか。
今回はその大予想をしたいと思います。
・・・なお,ノミネート作品のうち上田早夕里『破滅の王』と本城雅人『傍流の記者』はコメントできるだけの情報がないのです(読んでないし)。ごめんなさい。

湊かなえ『未来』(双葉社

湊かなえ。デビュー作『告白』からはや十年。次々とヒット作を飛ばし,様々な賞を受け,直木賞もこれが3回目のノミネート。まさに女王としての風格も出てきている上,ノミネート作『未来』は結構売れている。以上からすれば,今回,最も直木賞に近いといえる・・・はずが。

この『未来』,まさかの低評価なんですよね。どのレビューを見ても。
あまりの低評価ぶりもあって,しかもその理由がいずれも「ああ,なるほど」と思わせるものばかりというのもあって,実は僕も読んでいない。
この作品でノミネートというのは,運命のいたずらみたいなのを感じます。

・木下昌輝『宇喜多の楽土』(文藝春秋

抜群の安定感です。作家としても,作品としても。安心して読める。むしろ安定感がありすぎてどうか,というくらい。

ライバルがあるとすれば,他のノミネート作品ではなく,木下昌輝自身のデビュー作『宇喜多の捨て嫁』ではないでしょうか。あれはやはり,すごかった。あれと比べてしまうと・・・というところがあるにはある。

窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎

実は窪美澄,今回が初めてのノミネートだったんですね。既に1,2回くらいノミネートされていた印象もあったので,ちょっと意外。

作品自体はとても読みやすいし,現代社会というものの描き方,特に都会と地方の違いとか,高齢者とか介護とか,そういうものを取り上げながらも文芸作品としてうまくまとめているところが,よかったなあと思います。初めてのノミネートというところがネックではありますが(それでも受賞例はあります。昨年の佐藤正午とか),結構いいところまでいくのではないでしょうか。

島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋

今回の問題作です。テーマは重い。とてつもなく重い。あまりに重すぎてちょっと・・・というところがどうか。あと,序盤に手探りのまま話が進んでいくところで若干のフラストレーションを感じましたが,これは僕だけでしょうか。

個人的には,そろそろ芥川賞候補と直木賞候補のキャッチボール状態を解消してあげれば・・・とも思うのですが,いずれにせよ,選考委員に激賞されるか,それともコテンパンにけなされるか,どちらかのような気がします。

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ということで,私の予想は,

本命:木下昌輝『宇喜多の楽土』(文藝春秋
対抗:窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎

です。湊かなえはあえて外してみましたが,どうでしょうか。

発表まであと数日。楽しみにしたいと思います。

(ひ)