小川哲『君のクイズ』(朝日新聞出版)

小川哲さんの本が面白そうなのだけれど、どれも分厚いのでちょっと・・・と思っていたところに薄めの新刊が出版。早速読んでみた。『君のクイズ』。

クイズ番組「Q-1グランプリ」の決勝に進出した三島玲央。対戦相手の本庄絆は既に2回誤答しており、あと1回で失格となる。それなのに本庄は、問題が1文字も読まれないうちにボタンを押した――。

架空のクイズ番組を舞台にした小説である。ミステリ要素もあるが、主題は「クイズ」に全てをつぎ込んできた三島の内面描写。「Q-1グランプリ」の終了後、その決勝戦を1問ずつ回想する形で物語が進み、さらにその中で過去を振り返るという、入れ子構造のような形式を取る。

面白かったし、一気に読んだ。ただ、あえて薄めの本を選んだにもかかわらず、「短い」と思ってしまった。人間はわがままである(笑)。今度はもう少し分厚い作品にも挑戦してみようと思う。

装丁は大島依提亜さん。すごく個性的なデザインなんだけれど、それでいて不思議とこの作品の雰囲気にマッチしている感じがする。

小川哲『君のクイズ』(朝日新聞出版)


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