堂場瞬一『オリンピックを殺す日』(文藝春秋)

オリンピック開催が近づく6月、オリンピックと同じタイミングで謎のスポーツ大会が開催されるらしいという情報がスポーツ新聞の記者である菅谷のもとに飛び込んできた。

どうやら「ザ・ゲーム」というらしい。関係者はメディアの取材には一切口を閉ざし、徹底的に情報を隠している。わかってきたことは、一部の選手に招待状が送られているということ、ネイビアという世界的IT企業がバックについているということ、そして「彼」の理念に賛同してアスリートたちが自腹を切ってでも少しずつ集まりつつある、ということだ。菅谷はいらだちを隠せない。自分たちマスコミを排除して、どうやってスポーツのすばらしさを伝えることができるというのだ?

その理念とは? 「彼」とは・・・?

そして、いよいよアテネで「ザ・ゲーム」が始まった。

 

2022年9月刊行、書き下ろし。

今でも、東京オリンピック(ほんとうは東京2020であり、オリンピック・パラリンピックなのだが)誘致をめぐる醜態がボロボロと明るみになる中、大阪万博や札幌冬季オリンピック(これもほんとうはオリンピック・パラリンピックなのだが)で二匹目三匹目のドジョウをすくおうという有象無象が相変わらず蠢いている。

(こ)