ルイス・キャロル(河合祥一郎訳)『不思議の国のアリス』(角川文庫)

ある日、アリスが土手で座っていると、白いウサギが懐中時計を見ながら「遅刻だ遅刻だ~~」と走ってきて、穴に飛び込んでいきました。アリスもウサギを追いかけて、穴に飛び込みました・・・。

子どものころに読んだ、絵本。
不思議な不思議なアリスの冒険のお話。

 

NHK高校講座「ロンリのちから」を、ときどき授業で見せている。高校の映像部のメンバーが、気になるセリフがなぜおかしいのか、それを論理という視点から解き明かしていくという、10分の番組だ。
その最後に、アリスとウサギとチェシャーネコが登場するのだが、そこではじめて、ルイス・キャロルが数学者・論理学者だったことを知った。

絵本ではなくて、きちんとした訳書をはじめて手にした。挿絵も当時のもの。
これまでの印象とぜんぜん違って、冒頭からラップ調というかダジャレというか詩で始まり、その後も次々と、韻を踏んだいいまわしや、リクツなのかヘリクツなのかわからない台詞などがたたみかけられて、あちらこちらに作者の遊び心がちりばめられていてる。これは子ども向けのお話といいながら、本人がいちばん楽しんで書いたんだろうし、これを読み聞かせた大人も一緒になって喜んだことだろう。巻末には楽譜までついていたので、現代日本でも歌えるようになっている。

児童文学史上の不朽の名作とされる理由がわかった。1865年刊行。

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(こ)