うちの国語の先生が、俳句の授業の中でこの本を紹介していたので、さっそく読んでみる。
漱石夏目金之助の49歳の生涯を、畏友・正岡子規、妻・鏡子、そして猫とともに、ミチクサしながら、ゆっくりゆっくりともに歩いてゆく。
文中いたるところに添えられた俳句によって、ぱっと目の前に風が吹いたかと思えば、あちこちに小説の一節が埋め込まれ、突然明治時代の読者になったかと思えば、名プロデューサーでもあった漱石を取り巻く人たちの生き生きとした描写は、谷口ジローの連作の登場人物がふたたび飛び出したきたようだった。
作者の漱石愛がこれでもかこれでもかとあふれてくる作品である。
恥ずかしながら、小生も漱石は少しは齧り読んだが、しょせんそれなりに過ぎぬ。
大先生なら、どう読んでどう楽しむんだろう。
(こ)