ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』(岩波書店)

この夏の自分用課題図書。ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』。

1945年夏,敗戦――。本書は,そこから日本という国がどのように立ち上がっていったのかを,豊富な資料を引用しながら描き出した力作である。

7,8年前に上巻だけ読み終えたところで中断していた。いつか下巻も読まなければ・・と思っていたところである。

上巻は主として民衆がどのように敗北を,そして占領軍を受容したのかについて焦点が当てられる。そして,下巻では,戦後日本における民主主義の定着を天皇制や憲法,検閲制度等を通じて描写し,さらには東京裁判についても詳細に触れている。

戦争というものは,終わらせるのは難しいが,終わらせた後もまた難しい。終戦後の日本はまさに混乱と混沌の中にあった。このような激動の時代を,本書は時に批判的視点も交えながら,豊富な資料を引用して幅広く描き出す。

現代というものは,過去と地続きである。おりしもこの夏,NHK「映像の世紀」の再放送がされた。歴史を知ることの重みというものを,改めて思う。

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『敗北を抱きしめて』上巻・下巻



(ひ)