辻村深月『琥珀の夏』(文藝春秋)

 辻村深月という人は巫女なんじゃないかと思う。
 しかし、彼女の、紡ぎ出した言葉を自在に操り人の心をえぐる能力が、本作ではどうだったか。

 舞台は30年前のサマーセミナー。主人公のひとりの名前は美夏。
 たしかに、夏の本、なんだけれど・・・38度の酷暑が続く中で、辻村深月の渾身の一撃を浴び続けながら、気分よく読み進められるほど、ぼくの精神状態はよろしくない。

 とはいいながら、最後はうるっときたけれどね。 

 (こ)