伊坂幸太郎『777(トリプルセブン)』(角川書店)

 はじめて伊坂幸太郎という作家に出会ったのは、書店でたまたま手にした祥伝社の新書版『陽気なギャングが地球を回す』だった。一癖も二癖もある登場人物たちが、めまぐるしく切り替わる場面の中で、淡々と気の利いた会話を続けながら、クライマックスへと突入していく。その鮮やかな筆致の虜となった。

 その後、『グラスホッパー』には殺し屋が初めて登場し、『マリアビートル』では、新幹線に閉じ込められたついていない殺し屋・七尾が登場する。その七尾が再び、今度はホテルに閉じ込められる。逃走中の女性と、彼女を逃がそうとするハッカー、迫り来る6人組。ホテルには情報局長官。腕のいい死体処理屋の2人もやってきた。首がひねられ、顔が吹き飛び、腕を脱臼させられ、吹き矢の毒にやられ、あっちでもこっちでも物騒な戦いが繰り広げられる。

 殺し屋シリーズ第4弾。やはり最初から最後まで、伊坂幸太郎であった。

(こ)