夕木春央『十戒』(講談社)

山奥にある謎の地下建築を舞台にしたミステリ『方舟』。最近でも昼の情報番組で取り上げられるなど、根強い人気がある。

その作者、夕木春央が新刊を出したので読んでみた。『十戒』。

絶海の孤島・枝内島。この島に渡った9人のうち、1人が殺害された。犯人からのメッセージは「この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない」というもので――。

前作に引き続き、クローズド・サークルものである。しかも今回は絶海の孤島という、ある意味定番ものであるが、そこに犯人からの「戒律」が加わって、一筋縄ではいかないミステリに仕上がっている。

これ以上は何を書いてもネタバレになるので差し控えるが、『方舟』を面白かったと感じた人には、ぜひお薦めしたい一作である。特にラストは・・・。

なお、本作には読了者専用のネタバレ解説がウェブ上で公開されているが(最近の流行?)、そこに書かれていることはもう、同感でしかない。

夕木春央『十戒』(講談社


(ひ)