フランソワ・デュボワ『作曲の科学』(ブルーバックス)

窪美澄さん、直木賞受賞おめでとうございます!
当ブログでも、これまで3冊にわたって紹介してきたところでした。

・・・光文社古典新訳文庫版の『あしながおじさん』ですか? 持ってますよ(笑)。


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昔、趣味でキーボードを弾いていたことがあった。左手でコード(和音)を押さえると、自動で簡単な伴奏もしてくれたりして、おかげで様々なコード進行というものを学ぶことができた。

そんなこともあって、最近読んでみた本がこちら。フランソワ・デュポワ『作曲の科学』。

フランス生まれのマリンバソリストにして作曲家の著者が、音楽理論音楽史について自由気ままに書いた本である。タイトルに「科学」と付いているけれど、あまり科学的な記載はなく、むしろ音楽についての平易な読み物、という感じである。

この本の中核となるのは、やはり第4章の「作曲の極意」であろう。「極意」といっても、メロディについては「まずは自分の感性に従って自由に音を並べる」とか、あとは「コードに強くなる」、「素敵な響きだ、と感じる感性を大切に」、などといった(ある意味当たり前の)言葉が並ぶだけであるが、それでも読んでいて面白い。

興味を持ったのはコード進行のところで、著者によれば、例えば日本の曲でよく使われている「Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵ」のコード進行は、実は日本特有のものとのこと。

そういえば、このブログでもしばしば取り上げているYOASOBIだが、いきなり冒頭から「Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵ」という曲が多い(「夜に駆ける」、「ハルジオン」、「たぶん」、「三原色」等々)。このあたりにヒットの秘密があるのかも・・・などと考えながら、この本を読み終えた。

フランソワ・デュボワ『作曲の科学』


(ひ)