猫組長『金融ダークサイド』(講談社)

 この年末年始、除夜の鐘の鳴る日にあちこちから「ゴーンが」「ゴーンが」と鳴り響いたかと思えば、イランの司令官をアメリカが爆殺して「すわ戦争か」と肝を冷やした。この両者を結ぶ1本の線が、「カネと暴力」である。結局、圧倒的な軍事力を背景に、ドルを握るアメリカが国際金融の表も裏もがっちりと抑えていて、この覇権体制に挑戦する動きをアメリカは許さない。

 カルロス・ゴーン氏の逮捕劇においては、猫組長のtwitterが早い時期からマネーロンダリングという観点から「黒」認定していて、なかなかおもしろく読ませてもらっていたので、それをまとめたような本書は今読む本としてタイムリーであった。

 だからといって、非情な金融の世界がわかったわけではない。
 恥ずかしながら、「こういう世界があるんやなぁ」以上でも以下でもない、というのが感想である。

 (こ)