半藤一利『歴史と戦争』(幻冬舎新書)

 「半藤一利語録」が出た。本書は氏の膨大な著作の中から一段落ずつ取り出してまとめたものである。

 『日本のいちばん長い日』に始まり、氏の幕末氏、近代史、昭和史を一貫する視点は、為政者の偽善、危機にあって浮かび上がる真の知性と勇気であり、そしてその原点は、彼が東京大空襲の中で見た焼夷弾と焼け焦げた人間の塊だったのだろうと思う。

 今、ますます為政者の言葉が酷くなり、それにすっかり感覚が麻痺してしまった中で、軽く勇ましい言葉によって国が滅んだ事実を改めて記憶に留めておく。

歴史と戦争 (幻冬舎新書)

歴史と戦争 (幻冬舎新書)

 

 (こ)