思いっきりエンタメに振り切った小説が読みたい。そう思って選んだのがこちら。青崎有吾『地雷グリコ』。
女子高校生の射守矢真兎(いもりや・まと)。文化祭で屋上スペースの割当てを受けるため、ある勝負に出ることに。名づけて「地雷グリコ」――。
ジャンケンで勝った手に応じてグリコ・チヨコレイト・パイナツプルの数だけ前に進める「グリコ」をはじめ、「坊主めくり」「ジャンケン」等々、なじみのある遊び。これにいくつかの追加ルールが与えられるだけで、たちまち真剣勝負の頭脳ゲームに切り替わる。ひりひりした神経戦・心理戦。果たして真兎は、勝てるのか。
全5章+エピローグからなる本作品。手に汗握る、とはまさにこのような勝負をいうのだろう。戦いが進むに連れて、「敵」もどんどんランクアップ。最終章はもう、神と神のバトルである。
・・・などと面白がって読んでいたら、ちょうどそのさなかの今週5月16日、山本周五郎賞を受賞したとの報道が(すごい偶然だ)! ここまでエンタメに振り切った作品が同賞に輝くのは久々かも。おめでとうございます!
(ひ)