タイザン5『タコピーの原罪』(集英社)

今年上半期、最も話題になったコミックではないかと思う。タイザン5『タコピーの原罪』。

地球に降り立ったハッピー星人・タコピー。少女・しずかに助けられ、様々な「ハッピー道具」でしずかの笑顔を取り戻そうとするが――。

貧困、いじめ、ネグレクト・・・。かわいらしいタコピーのデザインとは裏腹に、ゆがんだ親子関係や、ふと爆発する暴力など、眼をそむけたくなるような描写が続く。ストーリーも過激で怒涛。思わぬ展開が次々と繰り広げられる。

読み手を選ぶ作品であろう。嫌悪感を抱く読者も少なくないのではないか。だが、そこで描かれているのは、間違いなく現代社会の縮図である。普段の生活では、見ないようにしているものや、なかったことにしているもの。それがこの作品では次々と描かれる。

どことなくドラえもんを想起させるような設定が、かえって本作の怖さを浮かび上がらせる。様々な意味で、心に残る作品である。

タイザン5『タコピーの原罪』



(ひ)