鈴木宏昭『認知バイアス』(ブルーバックス)

『黒牢城』おもしろそうだ・・・。

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さて,認知バイアスについての話をよく耳にするので,ちょっと勉強。鈴木宏昭『認知バイアス』。

様々な場面における認知バイアスの働きを,豊富な例とともに分かりやすく解説した本。伝統的な考え方から,最新の研究成果までがふんだんに盛り込まれ,しかも読みやすい。

興味深かったのは,著者が必ずしも認知バイアスをマイナス面だけでとらえていないという点である。著者はいう。「人はバイアスまみれのあてにならない存在」ということを紹介する本は多いが,果たしてそうなのか。認知バイアスがあるがゆえに人を愚か者だと断定してしまうのは,それ自体もバイアス,つまり「認知バイアス」バイアスではないのか。

人の思考というものは,コンピュータなんかと比べると,不完全で不合理なようにみえる。でも,その不完全さ,不合理さが,人類の発展をもたらした・・・。これだから人は,おもしろい。


(ひ)