フリードマンが本書のもとになる講義をしたのが1956年。リバタリアンあるいはマネタリストと評される彼の政策提言の骨子は「自由」である。彼にとっては政治的自由も経済的自由もコインの裏表であって、自由をコントロールしようとする弊害は、コントロールによって得られる利得よりも大きいのだから、自由をコントロールするべきではない、ということになる。
たとえば都市部の一般道路などに代表されるように、民営化しても料金徴収コストが高すぎるという理由で政府による供給を仕方なく容認する領域があるが、現代においてはGPS機能やキャッスレス決済を利用すれば、技術的には解決可能だろう。とするとフリードマンの「自由」は、ビッグデータ時代の管理社会と監視社会において、最大限に機能するというパラドックスではないか?
フリードマンは教育バウチャーについても1章を割いている。
幼保無償化政策を見ても、それまでに実施されてきた高校無償化政策を見ても、学校教育における自由化が、事業者間の競争によって淘汰と改善が進むというのは、長期的には正しいかもしれないが、眼前のことを考えると、淘汰の過程に巻き込まれる子どもや親にはたまったものではない。教育バウチャーについてはむしろ、イギリスのブレア政権のブレーンであったル・グランによる「準市場」概念の方がフィットする。
とはいいつつも、さすが名著。
巻末の解説は元財務官僚の高橋洋一氏。う~~~ん・・・もう少しきちんとした解説がほしかった。
- 作者: ミルトン・フリードマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 単行本
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(こ)