ショーペンハウアー『幸福について』(鈴木芳子訳,光文社古典新訳文庫)

話題の映画『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)見てきましたよ~。
いや~,最高!!
何を書いてもネタバレになりそうなので何も書けないけれど,もう最高!!
この作品を生み出した全てのスタッフとキャストに感謝です。ありがとう!!

(なお,画面酔いする体質の人はちょっと注意です。)

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さて。

またまた『日経おとなのOFF』8月号から。こういう名著特集の良いところは,「本当はとてもおもしろい古典・名著なのに,まだ読んでいない作品」を気づかせてくれるところである。

今回はショーペンハウアー『幸福について』。そう,まだ読んでいなかったのです。あの苦虫をかみつぶしたような肖像画がどうも・・・とか(言い訳ですが)。まあ,今年に入って新訳が出たということもあって,読んでみた。

お,結構おもしろいじゃないか。

ざっくりまとめてみると,「幸福になるために生存している」というのは迷妄にすぎず,生にまつわるあらゆる出来事は「苦」が伴うので,できるかぎり「苦」を少なくする生き方を目指そう,というもの。そのためには「他人と比較したり,他人の評価を気にしたりしてはいけない」というんですね。自分がどういう人物かというのをしっかりと保持していけばよい,と。

・・・と,まあ,このようにまとめてしまうとチープな自己啓発本か道徳の教科書みたいなのだが,そこはショーペンハウアー,辛口である。というか,皮肉の連続である。それでいて,古今東西の古典・名著からの引用もふんだんにある。さすがショーペンハウアーベルリン大学ヘーゲルに勝負を挑んだだけのことはある(聴講学生数で上回ってやろう,という,わりと卑小な勝負。結局,華々しく負けた。)。

最終章では,「老い」について取り上げている。ここも面白かったなあ。この章だけでも,10年後か20年後,もう一回読み直してみようかな。

幸福について (光文社古典新訳文庫)

幸福について (光文社古典新訳文庫)

(ひ)