ホッブズ『リヴァイアサン 2』(角田安正訳,光文社古典新訳文庫)

「第1部 人間について」の画期的な新訳から約3年。待望の続刊,ホッブズリヴァイアサン 2』(角田安正訳,光文社古典新訳文庫)がようやく刊行された。「第2部 国家について」の部分の新訳である。

「万人の万人に対する闘争状態」こそが人間の自然状態であると断言した第1部を受け,第2部では,国家の成立について,そして国家権力の絶対性について論じている。

全編を通じて感じられるのは,いかにして「内戦」を,そして「戦争」を避けることができるのか,というホッブズの切実な思いである。当時,イギリスは未曾有の内戦状態にあった。テキストを読んでいて「そこまで言い切るか・・・」と思う部分も少なくないが,本書が書かれた時代背景に立ち戻れば,理解も不可能ではない。

人民主権論の元祖か,それとも専制の擁護者か。様々な解釈が可能な古典であるが,議論の前に,まずは読んでみてほしい本である。

岩波文庫版で挫折した人でも大丈夫。読みやすさは保証したい。

リヴァイアサン2 (光文社古典新訳文庫)

リヴァイアサン2 (光文社古典新訳文庫)

(ひ)