文化人類学者の川田順造さんが亡くなられた。
僕にとってはレヴィ=ストロース『悲しき熱帯』の訳者である。
原題の「Tristes tropiques」を「悲しき熱帯」と訳した絶妙のセンスに加え、最初から最後までレヴィ=ストロースがそのまま語り掛けてくるような名文であった。
---
年末恒例の4大ミステリランキング。今年は青崎有吾『地雷グリコ』がその全てにおいて1位を獲得。振り返ると、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、そして直木賞候補作入りという、とんでもない作品でもあった。コミカライズ版も進行していて、こちらも目が離せない。
ということで、今年最後の1冊はミステリで締めたい。方丈貴恵『少女には向かない完全犯罪』。
両親を何者かに殺された少女。彼女が頼ったのは、なんと、あと7日で消滅する「幽霊」――!
これまで全く読んだことのないタイプのミステリである。広い意味では「バディ物」に属するものの、類書が頭に浮かばない。
物語が大きく「動く」タイミングも絶妙。ミステリだと普通は終盤に大きく動きだすのだが、本作は・・・え、そのタイミングで!?
あまり書きすぎるとネタバレになるため控えておくが、各ミステリランキングで10位以内に入っただけのことはある。こんなミステリ、10年前や20年前にはなかった。
---
それでは皆様、よいお年を!
(ひ)