池波正太郎『武士(おとこ)の紋章』(新潮文庫)

NHK朝ドラ「らんまん」が終わった。恥ずかしながら牧野富太郎という人を初めて知った。彼のことを池波正太郎が書いていると聞いて、手にしてみた。

そのエッセイは、8人の男達の生き様を描いた短編集の中に収められていて、黒田如水、真田信幸・幸村兄弟、堀部安兵衛といった正真正銘の武士(もののふ)たちに交じって、我が道を貫き、水のように風のように生きた男のひとりとして、並んで収められている。

牧野博士編だけは、本人に直接会った上で書かれたものであり、発表されたのも博士の存命中なので、他の7作品と少しコンセプトが違ってはいるけれど、池波作品らしいじわっと人の心の機微に近寄っていく筆致は、味わい深い。

 

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2023年10月6日(現地時間)、第4次中東戦争開戦から50年のこの日、ガザからイスラエルに向けてロケット弾が降り注ぎ、武装勢力イスラエルを襲撃した。怒り狂ったイスラエルの報復はどこまでエスカレートするのだろう。

(こ)