新海 誠『小説 天気の子』(角川文庫)

前作『君の名は。』は公開直後に見に行った。ものすごく感動した。感動して,パンフレットや関連書籍やCDを一通り買って,読み,聞き込んだ。

さて,その新海誠監督の新作『天気の子』。こちらも公開直後に見に行った。

・・・随分,攻めたなあ。

君の名は。』は,どちらかというと「多数の側」に立った祝祭の映画だったように思う。だから万人受けし,その結果,あんなにヒットした。他方,『天気の子』は,間違いなく「少数の側」に立った作品であった。

何を書いてもネタバレになりそうなので控えておくが,いろいろ考えさせられた。

映画鑑賞後,小説版に当たる『小説 天気の子』も読んだ。単にストーリーをなぞったものではなく,映画版では描かれなかった登場人物らの内面,来歴等にも触れられていて,映画への理解が進んだ。なるほど,だからあそこであんな・・・とか。

小説版の「あとがき」で新海誠監督は言う。

「映画は(あるいは広くエンターテインメントは)正しかったり模範的だったりする必要はなく,むしろ教科書では語られないことを――例えば人に知られたら眉をひそめられてしまうような密やかな願いを――語るべきだと,僕は,今さらにあらためて思った。」(295頁)

やっぱり,攻めてるなあ。
もう一度,見に行こうかな。

(8月4日追記)結局,もう一度見に行った。いや~,良かった。

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)


(ひ)