今村夏子『むらさきのスカートの女』(朝日新聞出版)

窪美澄『トリニティ』は直木賞にあと一歩届かなかった。決選投票には残ったが,「実在する出版社をモデルとしており,当時を知っている選考委員も多く,厳しい意見が多かった」とのこと。そう言われてしまうと仕方がない気もするが,やはり残念である。次に期待したい!

さて,一方の芥川賞。こちらも受賞したのは古市憲寿ではなく,今村夏子『むらさきのスカートの女』。どんなものか,ちょっと読んでみた。

・・・これは,一種の狂気だねぇ。

近所の「むらさきのスカートの女」が気になって仕方のない「わたし」の話。

文体は軽めでユーモアさえ感じられるのだけれど,怖い。ホラーとかそういうのではなくて,怖い。怖さとおかしさというのは,紙一重なんだな,などと思ったりする。

芥川賞受賞,納得だなあ。おめでとうございます。

むらさきのスカートの女

むらさきのスカートの女


(ひ)