日本経済新聞社編『地銀波乱』(日経プレミアシリーズ)

地方において強く感じられるのが,地銀の存在感である。

駅前とか街中とかの一等地に大きくて立派な本店がある。街のあちこちで支店を見かける。様々な公共イベントの後援・スポンサーになっていることも少なくない。

その地銀が,今,危機にあるという。日本経済新聞社編『地銀波乱』。

昨年,スルガ銀行の不正融資問題が発覚し,話題となった。だが,そんなものは氷山の一角にすぎない,と本書はいう。全国にある106の地方銀行の多くが本業の連続赤字に苦しんでいるのである。

人材も集まらない。新卒が来ず,優秀な中堅・若手は去っていく。「いまの地銀はかつての石炭産業を見るようだ」との発言が,重い。

地銀の衰退は,そのまま地方の衰退になっていくのか。


(ひ)