平野啓一郎『ある男』(文藝春秋)

今年度下半期の直木賞候補作が,以下のとおり発表されました。

・今村翔吾『童の神』(角川春樹事務所)
垣根涼介『信長の原理』(KADOKAWA)
真藤順丈『宝島』(講談社
・深緑野分『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房
森見登美彦『熱帯』(文藝春秋

前回のブログで「この中から1,2作品でもノミネート入りすればいいなあ」と挙げていた中から,なんと,3作がノミネート入り!(『信長の原理』『ベルリンは晴れているか』『熱帯』) いや~,素直にうれしい!

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さて。

自分の夫は,本当は誰だったのか。平野啓一郎『ある男』。

里枝は谷口大祐と出会い,結婚し,子をもうけた。しかし幸せな生活は長くは続かず,大祐は事故で命を落とす。悲しみにくれる里枝に,衝撃の事実がおそう。夫は実は,「谷口大祐」ではなかった・・・。

人は過去を,人生を変えられるのか。そもそも人にとって,その過去や来歴というものはいかなる意味を持つのか。平野啓一郎の問い掛けは,重い。

幸福って,何なんだろうね。そんなことを思いながら読んだ一冊。

ある男

ある男

(ひ)