北の大地からの初投稿。
- 作者: スティーヴン・ホーキング,青木薫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2019/03/14
- メディア: 単行本
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(ひ)
奥沢家
長女・綾香 = 31歳にして婚活開始。
次女・羽依 = OL、かなりモテる。
三女・凜 = リケジョ(M2)、異性に興味なし。
お母さん = 60歳になったので主婦の定年を宣言。
お父さん = にぎやかな女系家族の中でいつもマイペース。
京都本コーナーに平積みになっていたので、手にとった。
京都出身の著者だが、意外にも京都を書いたのは初めてらしい。
「私は山に囲まれた景色のきれいなこのまちが大好きやけど、同時に内へ内へとパワーが向かっていて、盆地に住んでる人たちをやさしいバリアで覆って離さない気がしてるねん」
「好きやからこそ一旦離れたいっていうのかな、盆地の中から抜け出して、外側から京都を眺めて改めて良さに気づきたいねん」
この言葉を、凜の口を借りて言いたかったのかな、と思う。
ただ、固有名詞や京の四季の風物詩をちりばめることに力が入りすぎているように感じられて、平成版「細雪」ではなく、なんだか土曜ワイド劇場「京都なんとか案内」を見ているような気になる。
あとひとつ。
綿矢はん(と新潮社はん)、京都のお人やったら、「大文字焼き」(文庫p.87 & 裏表紙解説)は、NGやおへんか?
(こ)
転生! 太宰治 2 芥川賞が、ほしいのです (星海社FICTIONS)
作家の寮美千子氏が、奈良少年刑務所が受刑者を相手に実施している「社会性涵養プログラム」の一環として、童話や詩を使った情操教育に取り組んだ記録である。
凶悪犯罪を犯して服役している20歳そこそこの青年たちが、幼な子のように自分をさらけ出して、のびのびと言葉を紡いでいる。安心して甘えることができなかった子ども時代を必死で取り戻しているかのように。
タイトルになっている一行詩は、受刑者Aくんが、亡き母への思いを込めてつくったもの。朗読を聞いてコメントする仲間の受刑者たちの言葉が、あたたかい。
人は、弱くて、不完全な存在なのだということを、ついつい忘れがちになるけれど、だからこそ人はつながり、助け合い、支え合うことができるのである。
涙が止まりませんでした。
空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)
(こ)
今週は映画です。
アカデミー賞は「差別」と「そっくりさん」が交互に受賞しているイメージがあって、今年は差別ものの年だった。とはいいつつも、王道をいく作品づくりで、安心して見ていられるものであった。
舞台は1962年アメリカ。黒人天才ピアニスト・Dr.シャーリーの南部ツアーのボディガードとして、イタリア移民のトニーが選ばれる。そのふたりが、いろいろな困難を乗り越えて友情を育んでいくという、鉄板ロードムービー。道中のふたりの掛け合いが大半なのだけれど、まぁ、ふたりともうまかった。オスカーをとったのはマハーシャラ・アリだけだけれど、ビゴ・モーテンセンにもあげてもいいですよ。
なお、タイトルになった「グリーンブック」とは、当時出版されていた、南部諸州で黒人が泊まれる宿泊施設を紹介したガイドブックのこと。
共同脚本を書いたのは、主人公・トニーの実の息子、ニック・バレロンガ。バレロンガファミリーは、ほんとうにバレロンガ家の人々として、エキストラ出演していたらしい。
2019年第91回アカデミー賞、作品賞・助演男優賞・脚本賞受賞作。
(こ)