この本は、長崎で郵便配達中に被爆したスミテル(谷口稜曄)の物語である(The Postman of Nagasaki,1984)。
物語は、スミテル少年の家族が長崎に移り住むところから始まる。戦争が始まり、1945年8月9日を迎える。スミテル少年は、背中に大やけどを負いながら、一命を取り留める。
物語の後半は、被爆者スミテルたちの戦後である。原爆症に苦しめられながら、スミテルはシャツを脱いで背中のケロイドを世界に発信する覚悟を決める。1963年、スミテルは最愛の妻と二人の子どもたちと一緒に海水浴に行く。シャツを脱いで子どもたちと海に向かって歩いて行くスミテルの背中が描写され、この物語は終わる。
出張で長崎に行くと、本屋に入って郷土本のコーナーを物色して、地元出版社の本を買い込むことにしている。中でも長崎文献社はいろんなシリーズを出していて、長崎研修旅行の事前学習には重宝している。
大波止の紀伊國屋書店で選んできた中の一冊。
谷口さんは去年亡くなった。長年「被爆体験講話」をうかがってきた方も、今年は出てこられなくなった。被爆者の高齢化が進む。
- 作者: ピータータウンゼント,海渡千佳,Peter Townsend,中里重恭
- 出版社/メーカー: ナガサキの郵便配達制作プロジェクト/スーパーエディション
- 発売日: 2018/08/01
- メディア: 単行本
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(こ)