櫻田智也『失われた貌』(新潮社)

北条政子以来」というパワーワードをネットで拝見。そうか、北条政子以来か…。

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話題のミステリということで、読んでみた。櫻田智也『失われた貌』。

県北部の山中で身元不明の死体が発見された。捜査係長の日野雪彦は、部下の入江と共に現場に赴くが――。

不審な人物。相前後して発生したもう一つの事件。地域誌への投書。そして生活課に突如現れた少年。謎が謎を呼ぶ中、主人公は地道に聞き込みを進める。同僚との衝突や、他の所轄との連携と競争、そして仕事に没頭するあまりほったらかしになった家族との関係など、警察小説でおなじみの要素が盛り込まれる。

終盤、全てのストーリーが一つに収束していく。ああ、うまいなあと思った瞬間・・

・・えっ、これ、おかしくない?

「……まさか」

と登場人物がつぶやくのと同時に、こちらも「まさか」と声が出た。
改めて本書を読み返す。いや、そうだ。絶対そうだ。完全にやられた。

後は最後まで一気読みである。

読後感も良かった。これ、今年を代表するミステリの一冊と言ってもいいのでは。


(ひ)