美術評論家の高階秀爾さんが亡くなられた。
僕にとって高階さんといえば『名画を見る眼』(岩波新書)である。学生の頃、「絵とはそういう風に鑑賞するものなのか!」と衝撃を受けた。
続編の『続名画を見る眼』とともに、今でも手元に置いてある。
---
先週紹介した『さくらのまち』。著者の三秋縋さんが気になり、こちらも読んでみた。『恋する寄生虫』。
極度の潔癖症の青年・高坂。ある日、見知らぬ男から「ある子供の面倒を見てもらいたい」と言われ――。
物語のカギとなるのは、ちょっと特殊な「寄生虫」。この現実とSFの中間くらいの設定が、これまで読んだことのない世界に読者を導く。
読後感は、これも深いものがある。この独特の読後感もまた、本書が広く読まれた理由であろう。
2016年の作品。コミカライズもされ、また実写映画にもなった。
(ひ)