『死んだ山田と教室』で鮮烈なデビューをした金子玲介さん。その2作目ということで読んでみた。『死んだ石井の大群』。
白い部屋に集められた333人もの「石井」。生き残るのは、1人だけ。他方、探偵事務所を営む男のところに、人探しの依頼が――。
「教室のスピーカーから死んだ級友の声が聞こえる」というこれまで読んだことのない物語であった前作に対し、本作はいわゆる「デスゲーム」ものであり、先行作品もいくつか頭に浮かぶ。とはいえそこは金子玲介さん。ありふれた「デスゲーム」ものにはしないという気概が伝わる。・・・っていうか、いや、この小説、どこに着地するんだよぉ。
随所にちりばめられた「謎」、そして「違和感」は、中盤から終盤にかけて次々と回収される。これは良質なミステリでもあった。
前作に引き続き、軽妙な会話が楽しい。会話といえば、ラスト10ページ余りの「会話」には、その内容はもちろん、小説技法という面でも驚かされる(詳しくは言えないが)。この作者、とんでもない筆力ですよ。
(ひ)