金子玲介『死んだ山田と教室』(講談社)

吾妻鏡』、実は本屋でぱらぱらと眺めていました。著者は灘の国語の先生なんですよね。世の中、いろんな人がいるな~。
ちなみに買ったのは、その隣にあった本。ウミイグアナ、ゾウガメ、フィンチ・・・。

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またまた、ものすごい新人が現れた。金子玲介『死んだ山田と教室』。

附属穂木高等学校2年E組の生徒・山田。夏休みに車にひかれて死んだはずの彼の声が、なんと教室のスピーカーから聞こえてきた――。

公募文学賞の「メフィスト賞」受賞作である。

死んだ生徒の声がスピーカーから聞こえてくるというアイディアは確かに面白いが、それをどう小説に生かすのか――などという心配は全くの杞憂である。次から次へと怒涛のごとく紡ぎだされる高校生の会話の波。そしておよそ考えつかないようなストーリー。こんなとんでもない小説、今まで読んだことなかった。

一見するとふざけた小説にもみえるけれど、実はなかなか奥が深い。人生の意義を描いたフィクションを文学というのなら、本作は間違いなく文学である。

それにしても完成度が高い。最後の最後まで読み手の心をつかんで離さない。かなり気が早いけれど、これ、本屋大賞にノミネートされてもおかしくないのでは。

『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』の麻布競馬場さんが1991年生まれ。『なんで死体がスタジオに!?』の森バジルさんが1992年生まれ。そして本作の金子玲介さんが1993年生まれだという。いよいよこの世代が表舞台に上がってきた。


(ひ)